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大海の弧島には、鳥以外の生物の場合そこにたどり着く方法が困難、
または極めて限られている為に大きな動物が存在しない事が大半です。
一方、たどり着く方法が限られているために、
弧島には似通った種類の生物が多いという特徴があるといいます。
今回は、北マリアナ諸島(14島)に生息する、
日本ではなかなかお目にかかることができない珍しい陸と空の生き物たちを、
一部ではありますがご紹介していきましょう。



上)フルーツダヴ
下)ブラウンツリースネーク

フルーツ ダヴ
和名:コバシヒメアオバト ( 北マリアナ固有種)
学術名:Ptilinopus Roseicapilla  英語名:Mariana Fruit Dove
チヤモロ名:Paluman Totut カロリン名:Mwee’mwe
北マリアナ諸島生息地:サイパン島、テニアン島、 アギガン島、ロタ島


北マリアナ諸島の国鳥であるこの鳥は、ハトの1種。サイパン以北の島では見られていない。以前はグアム島の国鳥だったが、グアムでは、1940〜50年の間に米本土からの軍需品に紛れて入って来たブラウン・ツリー・スネイクによって絶滅した。くちばしから尾の先までの長さは約23cm。身体は緑色、頭と胸部は灰色で、頭は赤色という北マリアナで最も色彩 豊かな鳥。密林やタガンタガン(ネムノキ亜科)の密生地帯の樹上の枝に小枝を用いて巣を作り、樹上の果 物や種を食す。母鳥が産む卵は1つのみで、母鳥が抱卵。産まれたばかりの雛鳥には、親鳥がその喉に「ハトのミルク」と呼ばれる物質を溜め、与える。サイパンでは、朝と夕刻にバックアイランドロード(サイパン島東部の幹線道路)で道路上を飛んでいる姿が見られるそうだ。

  ネッタイチョウ
和名:シラオネッタイチョウ
学術名:Phaethon Lepturus 英語名:White-tailed Tropicbird
チヤモロ名:Fagpi  カロリン名:Su’ghu’bwesch
北マリアナ諸島生息地:全域


上昇気流に乗って飛翔しているその様は、流線型の体形も手伝ってとても美しく、見る者の目を奪う。しかし足が極端に短い為、地上では腹ばいになって歩くそうだ。白いカラダに黒い模様と黄色のくちばし、そして、カラダよりも長いひも状の尾羽を持つ。一方、仲間のアカオネッタイチョウは、白い体に赤色のくちばしと尾羽を持つが、両方とも目の周りは黒い羽毛で覆われている。これは海中の獲物を探す際に海面 の反射光を和らげる役割を担うと言われている。主食はトビウオだが、海中に飛び込んで小さな魚やイカも捕獲する。刻み目の入ったくちばしが、滑り易い獲物の獲得を可能としている。漁師は、このような海鳥の存在を目印にシイラやカツオの群れを探す。観察場所として良いのは、サイパン島では、タポチョ山やスーサイドクリフや東海岸沿い、ロタ島では、バードサンクチュアリ。

キングフィッシャー
和名:ナンヨウショウビン
学術名:Halcyon Chloris 英語名:Collared Kingfisher
チヤモロ名:Sihek カロリン名:Waaw
北マリアナ諸島生息地:全域 (ファラリョン・デ・パハロス島、
ググァン島、アナタハン島、 ファラリョン・デ・メディニラ島を除く)


かまびすしい笑い声のような鳴き声を聞いたらその正体は、体長20cmほどのナンヨウショウビンに違いない。カワセミの仲間だが、南方のカワセミはオーストラリアのワライカワセミに代表されるように声が大きいのだろうか?!サイパン島内では電線に止まっているのをよく見かける。オスは、白色の頭と首、身体は鮮やかな青かターコイズ色である。メスはオスよりももう少し緑色系の強い青色だそうだ。マリアナ諸島で最も分布率の高い5つの生物のうちの1種である。海岸地域から街中まで、崖、木の枝、フェンス、ワイヤーなどを「止まり木」とし、じっとして獲物を定めてから捕獲の行動に移る。捕食対象は雑多で、魚、カニ、軟体動物、小さなトカゲ、昆虫、ミミズ、小さな鳥にまで至る。また、動いている獲物は、その大きなクチバシでくわえつつ「止まり木」に叩きつけ気絶をさせたり、貝などは、貝殻を壊して捕食する。繁殖期以外の時期は、単体行動をし縄張り意識が強く、侵犯すれば、同類の鳥や自分の子までも追い散らすそうだ。3島を除く全ての北マリアナ諸島で生息が確認されている。鳴き声は、2音階の短い笛の音のようである。

  ミクロネシアミツスイ
和名:ミクロネシアミツスイ 
学術名:Myzomela Rubratra 英語名:Micronesian Honeyeater
チヤモロ名:Egigi カロリン名:Tigh’par
北マリアナ諸島生息地:全域(ファラリョン・デ・パハロス島、
ファラリョン・デ・メディニラ島を除く)


甘い花の蜜を食する習性が名前の由来であり、北マリアナ諸島では唯一赤色の鳥である。諸島全域に分布するが、鳥の数がより少ない北方の島に多く生息している。メスは濃い茶色で胸がうっすらと赤い。オスの赤色は交尾期により鮮やかに発色する。ハチドリの1種と間違えられ易いが、スズメの1種である。北マリアナ諸島にハチドリの生息は確認されていない。その長く細いくちばしは、長い花弁の花からも蜜を吸えるように出来ており、何と!1分間に30ヶもの花を飛び回ることができるそうである。

  ゲッコー(ヤモリ)
和名:オガサワラヤモリ 学術名:Lepidodactylus Lugubris
英語名:Mourning Gecko チヤモロ名:Guali’ek(ゲッコーの総称)
カロリン名:Galuuf(ゲッコーの総称) 北マリアナ諸島生息地:全域


爬虫類、やもり科。家に幸運を呼ぶとされるヤモリには、北マリアナには固有種と外来した種が合わせてが6種生息すると確認されている。オガサワラヤモリは、ホオグロヤモリと共に家屋でもよく見られ、照明にたかる羽虫を主な餌とし、夜光性である。この5cm程まで成長するヤモリは、オスが見つかっておらず、メスが単為生殖する為、繁殖力に富むそうである。一回に2つの卵を産卵する。ホテル内にもあちこちで生息しているので勇気(?)がある方は、そっと捕まえてお腹を見てみるべし。産卵の直前であれば、2つの卵が透き通 った皮膚を通して見ることができる。 <単為生殖とは?>卵が受精なしで単独に発生する事。メスがオスと関係なしに新固体を生ずる現象。(大辞泉抜粋)


  フルーツバット
和名:マリアナオオコオモリ
学術名:Pteropus Mariannus 英語名:Mariana Fruit Bat
チヤモロ名:Fanihi カロリン名:Pai’Scheei
北マリアナ諸島生息地:全域(ファリョン・デ・ パハロス島、
ファラリョン・デ・メディニラ島、 テニアン島を除く)


チャモロ・カロリン人の伝統料理の素材として重要な位置を占める北マリアナ諸島唯一の固有哺乳類である。ココナッツミルクを使いスープに調理され、毛皮も含めて余すところなく食されるそうだ。猟過多や住処減少の為、その数は激減し、現在では絶滅危惧種として法的に保護されている。通 常は数多くで群れ、時には1500以上もの数で群れることもあり、また、島では、20体数ほどの群れがいくつも形成されることもあるらしい。その規模の集団では、オスは1匹ないし数匹で残りはメスだとのこと。日中は、樹に逆さにぶら下がりグルーミングをし、主に夜活発に食探しをする。大きいものでは、重さ600g、翼幅は90cmに達する。色は黒かこげ茶で、肩や首が黄金色である。動かすことができる大きな丸い耳を有し、目は大きく突き出た鼻が、「飛ぶキツネ」と呼ばれる所以である。果 物、花、花蜜、葉の茎、若枝の先を食用とする為、受粉や種を伝播をする。メスは1年に1回のみ4〜6ヶ月の懐胎期間を経て1匹お産をし、腋の下にある乳首から授乳する。野生のマリアナオオコオモリを見たい方は、ロタ島のタイサカン観察路やサガガガ・バードサンクチュアリを訪れるのが最も確実であろう。またサイパン島やロタ島での動物公園でも観察可。

  ヤシガニ
和名:ヤシガニ
学術名:Birgus Latro 英語名:Coconut Crab
チヤモロ名:Ayuyu カロリン名:Lyaf
北マリアナ諸島生息地:全域


別名「泥棒ガ二」。この不名誉な名前は、光る物を(鍋や装身具など)自分の巣に持っていく習性があることに起因する。ヤシガニは、チャモロ・カロリン人の食文化の代表とも言われる珍味の素材だが、乱獲が高じてその数は減少し、現在では捕獲がその方法や大きさによって法的に制限されている。世界で最も大きな陸のカニだが、ヤドカリの1種である。両足の幅の長さは約90cm、重さは5kgまで成長する。名前の通 り、大好物は椰子の実で、その強力なハサミで殻を割り、中の果肉を食するが、その他にも果 物、腐食した植物そして動物の死骸すら食べる。陸上でオスと交配したメスは、海へ行き産卵する。海中で孵化した幼虫は数週間潮の流れに漂い、やがて成長し海底に辿り着き、ヤドカリのように貝殻を身にまとい、浜にあがってくるという習性をもつ。自分の身体が硬くなると貝殻を捨てる。成長しきっていないヤシガ二の敵は、ねずみ、犬、野生の豚、マングローブオオトカゲと多くいるが、成長したヤシガ二の天敵は人間だけとなる。捕獲されたヤシガ二は、チャモロ料理のレストランで見ることができるかもしれない。また、サイパンでは動物園で観察可。
 北マリアナ諸島のような弧島では、自然生物界の生存競争が激しくないだけに、生物の自身を天敵から防衛をする機能の進化が著しく滞った。そのような環境において、外国から生物が移入された場合、その習性如何では生態系が著しく破壊もしくは変わってしまうことになる。最近の顕著な例では、移入されたブラウンツリースネークというへびによって9種もの鳥がグアム島で絶滅してしまったことだ。しかし、自然にとっての最大の脅威は勿論へびではなく、我々人間である。人間が知らない間にどれほどの生物を絶滅させてきたのか。その事実は、更に興味深く深刻な問題であるはずだ。誌面 の都合上、特集で紹介できたのは微々たる数の生物だが、読者に少しでも自然の素晴らしさや面 白さを垣間見て頂けたなら、それは取材班の本望である。

サイパン島、テニアン島、ロタ島では、下記の団体が生物観察のツアーサービスを行っています。 興味のある方は是非問い合わせをしてみて下さい。 また、北マリアナ諸島の生物に関してのお問い合わせは、政府機関Division of Fish and Wildlife Tel. 670-664-6000までどうぞ。

【 北マリアナ諸島の生物や植物が観察できる施設やツアー会社一覧】
■サイパン島
サイパン動物園 Tel. 322-5711 / 5118
サイパンウォーキングクラブ Tel. 483-5639 / 288-1111
■ロタ島 ロタ動物園 Tel. 532-3454
ココナツビレッジ バードウォッチング&フルーツツアー Tel. 532-3448
ココナツビレッジ ミステリーツアー Tel. 532-3448
写真提供協力: Laura Williams (CNMI- Division of Fish & Wildlife), Greg Moretti (CNMI- Division of Fish & Wildlife) Celestino F. Aguon (Guam USA Division of Aquatic and Wildlife Resources) Mitchell Warner (Guam USA Division of Aquatic and Wildlife Resources)  参考文献 : Common Flora and Fauna of the Mariana Islands Scott R. Vogt and Laura L. Williams著 Set of 30 Local Wildlife Brochures CNMI division of Fish & Wildlife著 ふたりのロタ島動物記  オオコウモリと鳥の楽園ガイド 山と渓谷社 大沢啓子・大沢夕志著


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